大正十二年九月一日 帝都大震災大火災 大惨状

作品詳細

映画題名 大正十二年九月一日 帝都大震災大火災 大惨状
映画題名ヨミ タイショウジュウニネンクガツツイタチ テイトダイシンサイダイカサイ ダイサンジョウ
制作年月日 1923年
時間(分) 27
サウンド サイレント
カラーの種類 白黒
作品解説 文部省製作『關東大震大火實況』とほぼ同一の素材により構成された一本だが、本作にしかないカットやフレームが一部残され、編集も異なるところがある。中間字幕のデザインにある結び柏のロゴから、帝國キネマ演藝が関与していると思われるが、撮影クレジットに東京シネマ商會の芹川勢三と白井茂の連名が記されていることから、文部省が東京シネマ商會から素材を買い上げる前に帝キネに販売していた素材の可能性もある。
制作会社 帝國キネマ演藝
配給会社 帝國キネマ演藝
スタッフ 東京シネマ商會[撮影]、芹川勢三、白井茂[撮影技師]
フィルム映写速度 16 fps
備考 元素材は、2013年度に千束八幡神社より受贈した35㎜可燃性マスターポジフィルムから、翌年度に35㎜不燃性デュープネガを経て作成された35㎜上映用ポジフィルムをスキャンしたデータである。

本作への帝國キネマ演藝の関与については、中間字幕に使われている同社のロゴ以外に証拠となるような資料は見つかっていない。なお、このロゴが使用されている資料は、ウェブサイト「帝キネ」で公開されている『大正十二年下半期 自大正十二年八月一日 至大正十三年一月三十一日 第八期營業報告書』の表紙に見ることができる。また、フィルム上で確認できるのは、公開日は本フィルムから2年ほど遡ると思われるが、『皇太子殿下 御歸朝 大正十年九月三日 帝國興行株式會社』(1921年)のメインタイトルに、ロゴが付されている。

文部省による震災記録映画製作への関わりについて、『東京朝日新聞』1923年9月18日朝刊に、以下のような記事がある。
「文部省社會教育課は十四日迄は全然関係の仕事を擲つて罹災民の収容に努めてゐたが、十六日午後乗杉課長以下協議の上差當りの計●として國民的同情を求め罹災民の精神振作の目的をもつて『過去炎焼中及炎焼後の東京市必死の救護復𦾔の努力等の六巻からなるフイルムを製作し』●に實費で譲る事内フイルム製作は十六日から初めた」(●は判読不可)
これは、後に文部省映画として公開される『關東大震大火實況』の製作が公式に開始されたのが9月16日であることを伝えるとともに、白井茂による以下の証言と合わせて考えると、東京シネマ商會撮影によるフッテージが16日以前に、帝國キネマ演藝に販売されていた可能性があることを示している。
「この災害のフィルムが毎日飛ぶように売れた。地方から上京してくる買手は、大げさに言えば門前列をなしたほどだった。そしてこの記録フィルムが、途中から製作が文部省に受けつがれることになって、後の復興篇まで撮影が続けられることになった。」(『カメラと人生』51頁)
「そのフィルムを芹川さんてのは、その辺が商売がうまいんだね。さんざん自分とこで売っちゃってね、今後は文部省と契約したの。そのフィルムを全部文部省にやると。文部省がそのフィルムを、やっぱり芹川さんから買ったんでしょうね。」(『キネマを聞く 日本映画史の証言者30人 PART1』114頁)

『關東大震大火實況』にも登場する無蓋貨車に避難する家族については、貨車に貼られた「繁田保吉」の貼り紙から、繁田保吉の長男・裕司として生まれた音楽家・三木鶏郎の自伝『三木鶏郎回想録(1) 青春と戦争と恋と』(1994年)に詳しく書かれている。自伝では、飯田橋付近の中央線の退避線に停めてあった貨車での避難を始めた9月2日に、活動写真班(朝日新聞の巡回班と称した、となっている)の撮影技師と助手がやってきて、カメラを少し回し、「繁田法律事務所」と書いた紙を大写しにして(映画では貼り紙の文字は「日本橋區蛎殻町一丁目四番地 繁田保吉 避難場」)いったという。
加えて、自伝には「全国で上映され、父の郷里伊賀上野の人びとは、この活動写真でわれわれ一家の安否を知ったといいう」と書かれているが、『東京震災録 前輯』(1926年)によれば、『關東大震大火實況』は1923年11月21日に三重県・伊賀上野で上映が行われている。
参考文献 『大正十二年下半期 自大正十二年八月一日 至大正十三年一月三十一日 第八期營業報告書』
(ウェブサイト「帝キネ」)https://teikine2021.omeka.net/items/show/7345
『東京朝日新聞』1923年9月18日朝刊
白井茂『カメラと人生―白井茂回顧録―』(ユニ通信社、1983年)42-51頁
日本大学芸術学部映画学科編集委員会編『キネマを聞く 日本映画史の証言者30人 PART 1』(江戸クリエート、1994年)「白井茂 カメラマン」104-118頁
三木鶏郎『三木鶏郎回想録(1) 青春と戦争と恋と』(平凡社、1994年)63頁
「関東大震災の記録映像に三木鶏郎が映っている話」(2022年12月23日) (ウェブサイト「上大岡的音楽生活」)https://us-vocal-school.com/weblog/music_life/archives/00042138.html
東京市役所編『東京震災録 前輯』第二卷 對災施設 第一編第二節 坤 活動 巳 文部省の活動(1926年)58頁
(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1448386/452
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